『冬の童話』 白川 道
一昨日読み終えました。
白川道さんの最新小説。紹介には「作者渾身の純愛小説」と書かれている。
いつもなら素通り、いや手に取る事を躊躇していまうのだがその日は違った。
何か引きよせられるように手に取り、じっとタイトルを目でなぞる。
暗い過去を心の底に持つ出版社社長と貧しいが純粋な心を持った派遣社員の
純愛小説。出会いは奇跡の連続だった・・・
心に闇を抱える男女は互いに引き寄せられる。
出会いが奇跡的であるほどその感情は深く、強固に結ばれる。
主人公 稲垣聖人と名高そらのお互いを信頼し助け合い、愛していく姿に
気がつけば物語のサブキャラとして応援している自分に気付く。
何度「愛してる」という言葉を聞いた事だろう・・・しかしそれが
恥ずかしくもなければ嫌な気持ちにもならないのが不思議だ。
「寂しがり屋の一頭のキャメルと、どうしようもなくなってしまった
小さなメスのノラ猫が、寒さと孤独に吸い寄せられてあったとサ・・・」
この物語の象徴的な一文ですが、全編を読み終えてから
読み返すとまたぐっとくる。
恋愛小説を初めて読みましたが
とても充満な気持ちになった。
自分の大切な人に読んでもらって同じ感情になってもらえたら
それはきっと幸せな事です。
疲れた心に白川道の人間愛を処方しましょう。