「県庁おもてなし課」 有川浩
読了しました。
「フリーター家を買う」などの著者である有川浩さんの作品を初めて読みましたが
テンポが良く最後まで一気に読み切りました。
地元を愛し、地方に元気を!という著者の思いが詰まった楽しい話です。
高知県に実在する「おもてなし課」が題材になった作品。
物語自体はフィクションでありながら、地方の観光資源のプロモーション不足や
行政内の軋轢などリアルに描かれているのではないでしょうか。
25歳の県庁職員である掛水が民間と行政の感覚の違いに葛藤しながらも
サポート役の明神(多紀ちゃん)と地元を愛する思いで周りの人たちを巻き込んでいく。
地元を盛り上げる…っといっても何からすればいいかわからず他県で行われている
事を刷りなおしてとりあえずやってみる。県出身の著名人に特命大使になってもらい
名刺を配ってもらおうとするが、他の課や受け入れ団体との調整に1月以上かかってしまい
特命大使の一人である小説家「吉門」に「あの話は流れたのか?」っといわれる始末。
そこからアドバイス(民間感覚の短刀直入の意見)を一つずつ吸収しながら
おもてなし課の職員達は変わっていく・・・。話は高知県全土をレジャーランドにする構想に
発展しそこに向けての取り組みがかなり具体的に描かれているので、しっかり取材されている
のがわかる。
地元出身の小説家「吉門」との関係や多紀ちゃんとの関係の進展なども温かく見守れた。
視点の転換で見えてる景色が変わる。自分が思っている常識なんてのは人によっては
非常識な事もあるわけで、万人受けを狙ってはコアなファンは作れないのも事実。
おもてなしの心で掴みたいのは新規顧客かリピーターか?
そんなことを考える一冊でした。