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本ブログ

吉田修一。さよなら渓谷、東京湾景、長崎乱楽坂、パレード、ランドマーク、日曜日たち

2012.06.04

「さよなら渓谷」

「東京湾景」

「長崎乱楽坂」

「パレード」

「ランドマーク」

「日曜日たち」

 

久しぶりの本ブログ。

3月辺りに一気に読了した吉田修一。

どれも昔の作品ですが、一人の作家さんを遡る様にして読んでいくのも面白いもんです。

どれをとっても読後感は重く、紹介するのをためらっていましたが

そんな時もあると言い聞かせ(誰にだろう?)アップします。

 

「さよなら渓谷」

どこにでもいそうな男女の知られざる過去。

二人が同居する家の隣で起きたある事件から

物語は始まる。

一緒にいるはずのない二人が消したい過去の空間を埋めるように

日常を共にする。忘れたい女、忘れてはいけない男。

底が見えないほど深い渓谷にさよならは出来るのか・・・?

 

「東京湾景」

東京品川埠頭で働く男と向こう岸お台場で働くOLの物語。

始まりは出会い系サイト。どこか「悪人」の序章とかぶるところが

ありますが、本質は違うとこにある。

男女の間に駆け引きなどなく、ただまっすぐに思う気持ちが

歪で不条理に映る。ただ報われてほしいと感じた作品。

 

「長崎乱楽坂」

作者の故郷長崎が舞台の作品。

ヤクザ社会で育った主人公の少年が

子供心に感じる男社会の繁栄と衰退。

大人になった少年はその後どう生きようとするのか・・・。

 

「パレード」

職業も夢も、勿論その生き方もバラバラな男女5人が

同じ屋根の下で暮らす。同じ屋根の下に日常を共に

しているにも関わらず、本当の本当のところは互いに知らない。

奇妙な共同生活が映し出す人間の光と影。

 

「ランドマーク」

建設中ランドマークタワーの設計に携わる男と

田舎から出て来て鉄筋工として働く作業員が

スパイラルに伸びる高層タワーに自分の人生を

重ねていく。

 

「日曜日たち」

誰にでもある日曜日。

ひとそれぞれに違うはずの日曜日が

奇妙に絡まっていく。

自分に救いの手を求められた時に、損得なしで

その手を取れるか?

人は誰しも誰かしらに影響を与えながら、また受けながら生きている。

強く握った救いの手は、実は自分を引っ張り上げてくれるものかもしれません。

 

吉田修一・・・好きです。